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宇都宮地方裁判所 昭和62年(行ウ)1号 判決

第一号事件原告

石橋修子

第二号事件原告

加藤能久

右両名訴訟代理人弁護士

堀裕一

青木秀茂

安田修

長尾節之

荒竹純一

松田隆次

両事件被告

足利市

右代表者市長

早川一夫

右訴訟代理人弁護士

堀家嘉郎

石津廣司

松﨑勝

主文

一  被告が起業者として施行する足利・佐野都市計画事業山辺東部土地区画整理事業に係る土地区画整理法第一〇一条第一項規定の損失補償裁決申請事件において、昭和六一年一一月二一日栃木県収用委員会がなした

第一号事件原告石橋修子所有の別紙物件目録一記載の土地に対する損失補償額金七九万二四六九円との補償裁決を金一七六万二三七五円と

第二号事件原告加藤能久所有の同目録二記載の土地に対する損失補償額金三五六万九三六一円との補償裁決を金一〇九三万九九八三円と

それぞれ変更する。

二  被告は、第一号事件原告石橋修子に対し、金一七六万二三七五円及びこれに対する平成五年五月二四日から右支払済まで年五分の割合による金員、並びに第二号事件原告加藤能久に対し、金一〇九三万九九八三円及びこれに対する平成二年一二月一六日から右支払済みまで年五分の割合による金員を各支払え。

三  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用はこれを三分し、その二を原告の、その余を被告の負担とする。

五  この判決は、主文第二項に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(原告らの請求の趣旨)

一  被告が起業者として施行する足利・佐野都市計画事業山辺東部土地区画整理事業に係る土地区画整理法第一〇一条第一項規定の損失補償裁決申請事件において、昭和六一年一一月二一日栃木県収用委員会がなした

第一号事件原告石橋修子所有の別紙物件目録一記載の土地に対する損失補償額金七九万二四六九円との補償裁決を金六二七万七九七六円と、

第二号事件原告加藤能久所有の同目録二記載の土地に対する損失補償額金三五六万九三六一円との補償裁決を金三八一三万九三八八円と、

それぞれ変更する。

二  被告は、第一号事件原告石橋修子に対し、金五四八万五五〇七円及び内金五二八万七一三七円に対する昭和六二年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告は、第二号事件原告加藤能久に対し、金三四五七万〇〇二七円及び内金三二八一万九九九七円に対する昭和六二年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  訴訟費用は被告の負担とする。

五  請求の趣旨第二項ないし第四項につき仮執行宣言。

(原告らの請求の趣旨に対する被告の答弁)

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

三  仮執行免脱宣言。

第二  当事者の主張

〔第一号事件〕

(請求原因)

一 当事者

1 第一号事件原告石橋修子(以下「原告石橋」という。)は、別紙物件目録一記載の各土地(以下「本件第一土地」という。)の所有者であり、第二号原告加藤能久(以下「原告加藤」という。)から、昭和五三年一二月一八日に足利市八幡町五五五番四の土地(同一九日所有権移転登記完了。以下、土地の表示については「五五五番四の土地」などと表示する。)の、昭和五四年一月二五日に四二三番四の土地の(同二月一三日所有権移転登記完了)、昭和五五年九月三〇日に五五四番六の土地の(同一〇月一日所有権移転登記完了)、昭和五六年八月一日に四二三番五の土地の(同一〇月一日所有権移転登記完了)、それぞれ贈与を受け、所有権を取得した。

2 被告は、本件土地所在地を含む足利・佐野都市計画事業山辺東部土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)の施行者である。

二 被告による仮換地指定処分等

1 被告は、本件事業の施行者として、当時、四二三番四、同番五及び五五四番六の従前地の所有者であった原告加藤に対し、昭和四九年三月二三日付で四二三番四の従前地については街区番号一九、符合一一内の地積一四一平方メートルの土地を、四二三番五の従前地については街区番号一九、符合八内の地積一二七平方メートルの土地を、五五四番六の従前地については街区番号一九、符合九内の地積二平方メートルの土地を、五五五番四の従前地については街区番号一九、符合一〇内の地積八五平方メートルの土地を、それぞれ仮換地として指定し、その効力発生日を同年三月二六日とし、かつ仮換地の使用又は収益を開始することができる日は別に定めて通知する旨の通知(以下「本件処分」という。)をした。

2 被告は、原告石橋に対し、昭和五四年七月二〇日付で四二三番四及び五五五番四の従前地について、その効力発生日を同年七月二三日とする仮換地変更指定処分の通知(以下、本件処分と併せて「本件各処分」という。)をした。

なお、四二三番五及び五五四番六の従前地については、土地所有権が原告加藤から原告石橋に移転した後も、四二三番四及び五五五番四の従前地のような再度の仮換地指定通知はなされていないが、被告が昭和四九年三月二三日付で原告加藤に対して行った仮換地指定処分(なお、この場合も仮換地の使用又は収益を開始することができる日は別に定めて通知することとされていた。)の効力は、土地区画整理法(以下「法」という。)一二九条により、承継人である原告石橋に対しても及んでいる。

3 本件事業の執行により、四二三番四の従前地は昭和五四年一二月一日から、四二三番五の従前地は原告石橋が所有権を取得した当初から、五五四番六の従前地は昭和五八年一月一七日から、それぞれ現実に使用収益できなくなった。また、右三筆の土地に対応する仮換地については、本件訴え提起時(昭和六二年一月一八日)に至るも被告から原告石橋に対する仮換地の使用開始の通知がないので、同原告は、結局、従前地、仮換地の双方とも使用収益できない状態が継続している。

三 原告石橋の損失

1 事業施行者は、従前の宅地について使用収益できる権利を有していた者が仮換地指定を受けたうえ、当該仮換地について使用収益開始日が別に定められたために、従前地について使用収益できなくなったことにより損失を受けた場合に、右損失を受けた者に対して「通常生ずべき損失」を補償しなければならないとされている(法一〇一条一項)。

2 原告石橋は、前記のとおり、従前地、仮換地の双方とも使用収益できないという損失を被っているが、それは「従前の宅地について使用し又は収益することができなくなったことに因り」被った損失であって、特段の事情のない限り、従前地の地代又は借賃相当額(以下「借賃相当額」という。)が通常生ずべき損失となる。しかも、本件では施行者の著しい計画不備ないし失敗により、使用収益不能期間が極めて長期間にわたっているのであって、その負担を個人に帰すことは平等に反することにもなる。

四 補償額

1 従前地の借賃相当額は、土地収用法における損失補償と同様に考えるべきであり、同法七二条を類推適用したうえ、「公共用地の取得に伴う損失補償基準(昭和三七年一〇月一二日用地対策連絡協議会理事決定、以下「用対連基準」という。)二四条及び同細則一一条の定める推定正常価格(時価)の六パーセントとするのが相当である。

2 また、補償対象の本件第一土地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格(単価)は、別表第一記載のとおりであり、また、本件事業区域内の大部分は住居地域であり、補償対象地の近傍も従前から住宅地としての使用が一般的で、現在も同様であるから、昭和四七年九月一七日以降の価格を推定するには、財団法人日本不動産研究所公表の六大都市を除く地域別市外地価推移指数(第四表)のうち、住宅地指数を用いるのが合理的であるところ、これを用いて昭和五四年九月末日から半年毎に昭和五九年三月末日までの従前地の正常価格を推定すると別表第二記載のとおりとなる。

3 したがって、以上の基準に基づいて原告石橋が補償対象の本件第一土地についての補償を受けるべき価額を算出すると次のとおりとなる。

(一) 昭和五四年一二月一日から同五五年三月三一日まで

四二三番四の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×194.14m2×0.06÷12×4=179,772円

(二) 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日まで

四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×194.14m2×0.06=574,266円

(三) 昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×194.14m2×0.06=644,156円

(2) 四二三番五の土地(昭和五六年八月一日から八か月分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×172m2×0.06÷12×8=380,462円

(四) 昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×194.14m2×0.06=703,563円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×172m2×0.06=623,328円

(3) 五五四番六の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

65,800(円/m2)×6.61m2×0.06÷12=2,174円(一か月分の賃料相当額)

(2,174円×2)+(2,174円×15÷31)=5,399円

(五) 昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×194.14m2×0.06=745,497円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×172m2×0.06=660,480円

(3) 五五四番六の土地(一年分の賃料相当額)

69,700(円/m2)×6.61m2×0.06=27,643円

(六) 昭和五九年四月一日から同五九年九月三〇日まで

(1) 四二三番四の土地(六か月分の賃料相当額)

66,300(円/m2)×194.14m2×0.06÷2=386,144円

(2) 四二三番五の土地(六か月分の賃料相当額)

66,300(円/m2)×172m2×0.06÷2=342,108円

(3) 五五四番六の土地(六か月分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×6.61m2×0.06÷2=14,317円

五 補償裁決

原告石橋は、被告と、法一〇一条一項の損失補償について協議をしたが、協議が成立しないので、栃木県収用委員会に対し、法九四条二項に基づき補償裁決の申請をした。栃木県収用委員会は、昭和六一年一一月二一日付で原告石橋に対し、損失補償金を七九万二四六九円、損失補償の時期を昭和六二年一月二一日とする旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。

六 よって、原告石橋は、被告に対し、本件裁決の変更を求めるとともに、損失補償金請求権に基づき金五四八万五五〇七円及び内金五二八万七一三七円に対する昭和六二年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(被告の認否)

一 請求原因一の各事実は認める。

二 同二の各事実は認める。

三1 同三1は認める。

2 同三2は争う。

四1 同四1、3は争う。

2 同四2のうち、補償対象地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格が別表第一記載のとおりであること、昭和四七年九月一七日以降の推定正常価格を財団法人日本不動産研究所公表の六大都市を除く地域別市外地価推移指数(第四表)のうち、住宅地指数を用いて算出すると別表第二記載のとおりとなることは認め、その余は争う。

五 同五は認める。

(被告の主張)

一 法一〇一条について

1 換地処分は、施行区域全体について同時に土地の交換分合を行うものであるところ、従前地上にある建築物を移転・除去して従前の土地上の使用収益の状態を一挙に換地へ移行することが事実上不可能であるため、換地処分がなされるまでの間、仮換地指定処分により仮に使用収益できる土地を各権利者に指定して、順次、従前地上の使用収益状態を換地へ移行することとしている。

仮換地指定処分によって従前の土地に対する使用収益が停止されるのも右目的を達成するために支障となる私権の行使を制限するものであり、施行者が当該土地を一定期間現実に使用することを直接の目的としてなされるものではない。すなわち、仮換地指定処分による従前地に対する使用収益停止は、公用使用(公用使用は、現実に事業者に一定期間にわたる土地の使用を許し、土地所有者にその受忍限度を課すことを目的としてなされるものである。)ではなく、公益目的達成のため私権の行使を制限するいわゆる公用制限に該当するものである。

このように、仮換地指定処分は、例えば法七九条一項による土地の使用(この場合は、施行者が一時収用施設等を設置するために土地を使用するものであるから公用使用である。)とは全くその性質を異にする。

2 一般に、公共の福祉のため、あるいは権利自体に内在する制約のため公用制限する場合には補償を要しないと解されているところ、法に基づく仮換地指定の効果として生ずる従前の土地の使用収益停止という公用制限も、公共の福祉のためなされるものであり(同法一条)、これに対する補償は原則として不要である。

もっとも法一〇一条は、仮換地指定による従前地の使用収益停止について補償規定を設けているが、それは公用制限としてなされる仮換地指定による従前地の使用収益停止が特別の犠牲を与える場合を考慮したものであるから、法一〇一条所定の補償要件の解釈は公用制限による損失補償の一般理論に沿ってなされるべきである。

3 公用制限を定める特別法には「通常生ずべき損失」を補償する旨の規定が置かれることが多いが、このような場合、いわゆる実損補填説がとられ、土地所有者が現実に受ける積極的な損失のみが通常損害になると解されており、将来の期待利益の喪失は含まないとされている。すなわち、当該公用制限により従前から現に行っていた土地利用が妨げられたために受けた損失だけが補償の対象となるのであって、法一〇一条の補償もこれと同様に解されるべきものである。

本件のごとく使用収益開始日を別に定めるとされた仮換地指定にあっては、従前地所有者は、施行者から工事等の必要上、従前地の明渡しを求められるまでは、これを事実上使用収益できるのであり、また、原告石橋は、使用収益停止以前からその点について十分認識していたにもかかわらず、何らの利用意思もなく、本件土地を未利用のまま放置していたところ、このように従前地が未利用のまま放置されていた場合には、仮換地指定により使用収益が停止されても、従前から現に行っていた土地利用が妨げられるということはありえないから、原告には経済的、財産的損失が生じておらず、損失補償の余地はないというべきである。

4 原告石橋は、法一〇一条の補償を賃料相当額であると主張しているが、これは従前地が現に利用されていて、仮換地指定により使用収益が停止されたため従前から現に行っていた土地利用が妨げられ、他に代替地を賃借せざるを得なかったような場合を想定したものである。

5 以上のとおり、従前地の使用収益が停止されても、当該従前地が未利用であり、積極的かつ現実的損失が発生しない以上、法一〇一条の損失補償は不要である。

二 賃料相当額について

1 仮に本件の場合に賃料相当額の補償が必要であるとした場合でも、その額は次に述べるように原告石橋主張の土地価格の六パーセント(年額)などという高額なものではなく、固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇を超えることはない。

原告の主張する正常な地代又は借賃は、不動産の完全自由市場において成立するであろう適正な賃料をいうが、土地区画整理事業においては、一般公共事業と異なり、土地所有者も受益者として事業施行に伴う不利益について一定限度において受忍すべき義務があるから、完全自由市場において成立する新規の正常地代又は借賃相当額を補償額とすることはできない。また、栃木県内では、土地の収益性が低いため、土地価格の五ないし六パーセントの利回りを期待することもできないため、結局、原告の主張は失当である。

2 宅地

被告は、その普通財産たる宅地を貸付ける場合、その貸付料を足利市内における平均的な賃料である固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇としている。現に原告加藤は、四二六番一の土地、四二六番二の土地及び四二六番四の土地を賃貸をしていたが、その賃料は昭和五七年時点で坪当たり月額一八〇円であって、年額にするとほぼ固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇程度に相当する。

3 農地

本件土地付近の畑の標準収益額(年額)は、昭和五九年時点で一〇アール当たり五万一三〇〇円に過ぎず、農地法二四条の二に基づく標準小作料(年額)は一〇アール当たり一万四〇〇〇円に過ぎないのであって、固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇をはるかに下回っている。

三 補償金の支払い

1 仮に、被告に何らかの補償義務が認められるとしても、被告は、昭和五五年一二月五日、本件第一土地のうち四二三番四の土地については昭和五四年度(昭和五四年一二月一日から昭和五五年三月三一日まで)分として九万〇五〇〇円(ただし、原告加藤所有の四二三番三、四二三番五の土地に対する補償を含む。)の補償を、昭和五五年度分(昭和五五年四月一日から昭和五六年三月三一日まで)分として七万八六一八円の補償を、それぞれ原告石橋の代理人である原告加藤と合意のうえ支払った。

2 また、本件各土地(四二三番四、同番五及び五五四番六の土地)の補償について、被告は、原告石橋に対し、昭和六二年一月二一日、本件裁決に基づき同裁決が認定した各土地の固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇(年額)に相当する額である七九万二四六九円(各年度分の弁済期より年五分の割合による利息相当額を含む。)を支払った。

(被告の主張に対する原告石橋の認否及び反論)

一 被告の主張一は争う。

仮に仮換地指定処分による従前地の使用収益停止の法的性質が被告主張のとおりであったとしても、それは仮換地の使用収益の開始が行われることを前提とするものである。しかるに、本件では仮換地の使用収益開始日が別に定めるとされたまま、現在まで一五年以上もの長期にわたり放置され、従前地、仮換地の双方が使用収益できない状態が長期間継続しているのであるから、被告の主張はその前提を欠くものというべきである。

二 同二は争う。

三1 同三1の事実のうち、原告加藤が被告から農業補償名目で九万〇五〇〇円、雑補償名目で七万八六一八円を受領したことは認め、右金員が本件土地を使用収益できないことによる損失補償金であること、原告加藤が原告本人として、また、原告石橋の代理人として被告と四二三番四の土地の補償協議や被告主張の合意をしたことは否認する。

右金員は、被告が四三三番一の土地上の物件を原告加藤に無断で焼却したことなどに対する金銭的解決のために支払われたものである。

2 同三2のうち、原告石橋が昭和六二年一月二一日に被告から補償金として七九万二四六九円の支払いを受けたことは認め、その余は争う。

原告石橋の被告に対する本件損失補償金五二八万七一三七円に対する年五分の割合で生じた利息を計算すると、内金一七万九七七二円に対する昭和五五年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は六万〇七〇八円、

内金五七万四二六六円に対する昭和五六年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は一六万五二一五円、

内金一〇二万四六二〇円に対する昭和五七年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は二四万三五五二円、内金一三三万二二九〇円に対する昭和五八年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は二五万〇〇七〇円、内金一四三万三六二〇円に対する昭和五九年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は一九万七四〇九円、内金七四万二五六九円に対する昭和六〇年一月二四日から昭和六二年一月二一日までの利息は七万三八八五円、

の合計九九万〇八三九円となるので、被告から支払われた七九万二四六九円は全て利息金に充当されたことになる。

〔第二号事件〕

(請求原因)

一 当事者

1 原告加藤は、別紙物件目録二記載の各土地(以下「本件第二土地」という。)の所有者である。

2 被告は、本件第二土地所在地を含む本件事業の施行者である。

二 被告による仮換地指定処分等

1 被告は、原告加藤に対し、本件事業の施行者として、昭和四九年三月二三日、別紙第一目録記載のとおりの仮換地を指定し、その効力発生日を同年三月二六日とし、かつ仮換地の使用又は収益を開始することができる日は別に定めて通知する旨の通知(以下「本件処分」という。)をした。

2 原告加藤は、本件事業の執行により、本件第二土地中、別紙第二目録A欄記載の従前地をB欄記載の日から、それぞれ現実に使用収益できなくなった。また、別紙第二目録A欄記載の従前地に対応する仮換地についての使用収益開始の通知が本件訴え提起時(昭和六二年一月一八日)までなされていないため、原告加藤は、別紙第二目録A欄記載の不動産について従前地及びそれらに対応する仮換地の双方について同目録B欄記載の日からそれぞれ現実に使用収益できない状態が継続している。

三 原告加藤の損失

1 第一号事件請求原因三1と同旨。

2 同三2と同旨。

3 また、従前地が農地である場合であっても、次に述べるとおり、農地の正常価格に適正利回りを乗じて得た額が農地として使用した場合の年間純利益に固定的経費を加えた額より上回る場合には、正常な地代又は借賃相当額を補償すべきである。すなわち、市街化区域にあるいわゆる介在農地は宅地見込地であり、宅地と連続しており、宅地と同一視できる状態にある。また、従前地が農地であっても仮換地が直ちに使用可能な場合には、仮換地を農地ではなく都市機能に適合した、より有効な利用が可能であるのに対し、従前地及び仮換地の双方が使用収益できない場合には、従前地が現実に使用収益できなくなった時点の地目でもって農地なら農業休止補償とした場合、その期間が長期にわたる場合には極めて不合理なこととなる。さらに、前記のとおり、従前地及び仮換地の双方が使用収益できない状態が公用使用の法理と相通ずるものであることを考え合わせるならば、農地であっても宅地としての正常な地代又は借賃相当額を補償すべきである。

4 よって、原告加藤は別紙第二目録A欄記載の土地についてB欄記載の各日から本日に至るまでそれぞれの土地について、それらに対応する期間の地代又は借賃相当額の損失を被った〔なお、既に経過した期間のみ請求できるとされているので、昭和五九年九月三〇日(四二三番五の土地については昭和五六年七月三一日)までの損失補償を請求する。〕。

四 補償額

1 第一号事件請求原因四1と同旨。

2 第一号事件請求原因四1、2と同旨。ただし、別表第一、第二はそれぞれ別表第三、第四と訂正する。

3 したがって、以上の基準に基づいて原告加藤が補償対象の本件第二土地の補償を受けるべき価額を算出すると、次のとおりとなる。すなわち、

(一) 昭和五四年一二月一日から同五五年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×439m2×0.06÷12×4=406,512円

(2) 四二三番五の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×172m2×0.06÷12×4=159,272円

(二) 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×439m2×0.06=1,298,562円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×172m2×0.06=508,776円

(3) 四三三番一の土地(八か月二八日分の賃料相当額)

46,500(円/m2)×433m2×0.06÷12=100,672円(一か月分の賃料相当額)

(100,672円×8)+(100,672円×28÷31)=896,305円

(三) 昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×439m2×0.06=1,456,602円

(2) 四二三番五の土地(四か月分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×172m2×0.06÷12×4=190,232円

(3) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

52,100(円/m2)×433m2×0.06=1,353,558円

(四) 昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×439m2×0.06=1,590,936円

(2) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

56,900(円/m2)×433m2×0.06=1,478,262円

(3) 四二三番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,200(円/m2)×413m2×0.06÷12=140,833円(一か月分の賃料相当額)

(140,833円×2)+(140,833円×15÷31)=349.811円

(4) 四二五番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,200(円/m2)×357.02m2×0.06÷12=121,743円(一か月分の賃料相当額)

(121,743円×2)+(121,743円×15÷31)=302,393円

(5) 四二六番一及び同番四の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

84,100(円/m2)×207.16m2×0.06÷12=87,110円(一か月分の賃料相当額)

(87,110円×2)+(87,110円×15÷31)=216,370円

(6) 四二六番二の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

① この内73.83平方メートルの部分

84,100(円/m2)×73.83m2×0.06÷12=31,045円(一か月分の賃料相当額)

(31,045円×2)+(31,045円×15÷31)=77,111円

② この内223.59平方メートルの部分

79,400(円/m2)×223.59m2×0.06÷12=88,765円(一か月分の賃料相当額)

(88,765円×2)+(88,765円×15÷31)=220,480円

(7) 四二九番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,600(円/m2)×1,114m2×0.06÷12=382,102円(一か月分の賃料相当額)

(382,102円×2)+(382,102円×15÷31)=949,092円

(五) 昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×439m2×0.06=1,685,760円

(2) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

60,300(円/m2)×433m2×0.06=1,566,594円

(3) 四二三番一の土地(一年分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×413m2×0.06=1,789,116円

(4) 四二五番一の土地(一年分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×357.02m2×0.06=1,546,610円

(5) 四二六番一及び同番四の土地(一年分の賃料相当額)

89,000(円/m2)×207.16m2×0.06=1,106,234円

(6) 四二六番二の土地(一年分の賃料相当額)

① この内73.83平方メートルの部分

89,000(円/m2)×73.83m2×0.06=394,252円

② この内223.59平方メートルの部分

84,100(円/m2)×223.59m2×0.06=1,128,235円

(7) 四二九番一の土地(一年分の賃料相当額)

72,700(円/m2)×1,114m2×0.06=4,859,268円

(六) 昭和五九年四月一日から同年九月三〇日まで(六か月分の賃料相当額)

(1) 四二三番三の土地

66,300(円/m2)×439m2×0.06÷2=873,171円

(2) 四三三番一の土地

62,400(円/m2)×433m2×0.06÷2=810,576円

(3) 四二三番一の土地

74,800(円/m2)×413m2×0.06÷2=926,772円

(4) 四二五番一の土地

74,800(円/m2)×357.02m2×0.06÷2=801,152円

(5) 四二六番一及び同番四の土地

92,200(円/m2)×207.16m2×0.06÷2=573,004円

(6) 四二六番二の土地

① この内73.83平方メートルの部分

92,200(円/m2)×73.83m2×0.06÷2=204,213円

② この内223.59平方メートルの部分

87,100(円/m2)×223.59m2×0.06÷2=584,240円

(7) 四二九番一の土地

75,300(円/m2)×1,114m2×0.06÷2=2,516,526円

(七) (一)ないし(六)の総計

三二八一万九九九七円

五 補償裁決

原告加藤は、被告と、法一〇一条一項の損失補償について協議をしたが、協議が成立しないので、栃木県収用委員会に対し、法九四条二項に基づき補償裁決の申請をした。栃木県収用委員会は、昭和六一年一一月二一日付で原告加藤に対し、損失補償金を三五六万九三六一円、損失補償の時期を昭和六二年一月二一日とする旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。

六 よって、原告加藤は、被告に対し、本件裁決の変更を求めるとともに、損失補償金請求権に基づき金三四五七万〇〇二七円及び内金三二八一万九九九七円に対する昭和六二年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(被告の認否)

一 請求原因一の各事実は認める。

二1 同二1の事実は認める。

2 同二2の事実のうち、四二九番一の土地のうち612.96平方メートル(仮換地六ブロック二ロット)について使用収益開始通知がないことは否認し、その余は認める。

四二九番一の土地のうち612.96平方メートル(仮換地六ブロック二ロット)については昭和六〇年八月一日に使用収益開始通知を行っている。

三1 同三1は認める。

2 同三2ないし4は争う。

四1 同四1は争う。

2同四2のうち、補償対象地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格が別表第三記載のとおりであること、昭和四七年九月一七日以降の推定正常価格を財団法人日本不動産研究所公表の六大都市を除く地域別市街地価推移指数(第四表)のうち、住宅指数を用いて算出すると別表第四記載のとおりとなることは認め、その余は争う。

2 同四2は争う。

五 同五は認める。

(被告の主張)

一 第一号事件の被告の主張一、二と同旨。

二 本件各仮換地は、事実上、使用収益可能な部分がそれぞれ存在するが、原告加藤が各仮換地全体の整備が完了するまで部分的な引渡を受けることを拒否している。しかし、事実上であっても使用収益可能な部分が存在すれば、その限りで同原告には損失がないというべきである。

三 補償金の支払い

1 仮に、被告に何らかの補償義務が認められるとしても、被告は、昭和五五年一二月五日、本件土地のうち四二三番三及び同番五の土地については昭和五四年度(昭和五四年一二月一日から昭和五五年三月三一日まで)分として九万〇五〇〇円(ただし、原告石橋所有の四二三番四の土地に対する補償を含む。)の補償を、また、四二三番三、同番五及び四三三番一の土地について昭和五五年度(昭和五五年四月一日から昭和五六年三月三一日まで)分として三〇万七四四七円の補償を、それぞれ原告加藤と合意のうえ支払った。

2 また、本件各土地(四二三番三、同番五及び四三三番の土地?)の補償について、被告は、原告加藤に対し、昭和六二年一月二一日、本件裁決に基づき同裁決が認定した各土地の固定資産評価額の一〇〇〇分の四〇(年額)に相当する額である三五六万九三六一円(各年度分の弁済期より年五分の割合による利息相当額を含む。)を支払った。

(被告の主張に対する原告加藤の認否及び反論)

一 被告の主張一は、第一号事件の被告の主張に対する原告石橋の認否及び反論一、二と同旨。

二 同二は争う。仮換地の一部を部分的に使用収益することは、法的に許されない。

三1 同三1は、第一号事件の被告の主張に対する原告石橋の認否及び反論三1と同旨。

2 同三2のうち、原告加藤が昭和六二年一月二一日に被告から補償金として三五六万九三六一円の支払いを受けたことは認め、その余は争う。

原告加藤の被告に対する本件損失補償金三二八一万九九九七円に対する年五分の割合で生じた従前の利息を計算すると、

内金五六万五七八四円に対する昭和五五年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は一九万一〇六五円、

内金二七〇万三六四三円に対する昭和五六年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は七七万七八三七円、内金三〇〇万〇三九二円に対する昭和五七年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は七一万三一九二円、内金五一八万四四五五円に対する昭和五八年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は九七万三一二一円、内金一四〇七万六〇六九円に対する昭和五九年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は一九三万八二七三円、

内金七二八万九六五四円に対する昭和五九年一二月一二日から昭和六二年一月二一日までの利息は七二万五九〇三円、

の合計五三一万九三九一円となるので、被告から支払われた三五六万九三六一円は全て利息金に充当されたことになる。

第三  証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録の記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

〔第一号事件〕

第一  請求原因一(当事者)及び同二(被告による仮換地の指定等)の各事実、同三1、同四のうち、補償対象の本件第一土地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格が別表第一記載のとおりであること、昭和四七年九月一七日以降の推定正常価格を財団法人日本不動産研究所公表の六大都市を除く地域別市外地価推移指数(第四表)のうち、住宅地指数を用いて算出すると別表第二記載のとおりとなること並びに同五の事実(補償裁決を経たこと)は当事者間に争いがない。

第二  争点に対する当裁判所の判断

一  争点1(補償の要否)について

1 法は、「従前の宅地の所有者及びその宅地について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者が、九九条二項の規定によりその仮換地について使用又は収益を開始することができる日を別に定められたため、従前の宅地について使用、又は収益することができなくなったことに因り損失を受けた場合においては」施行者は、「その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損害を補償する。」(一〇一条一項)と規定している。

土地区画整理事業は、「都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図る」こと(二条一項)により全体として秩序ある市街地を造成し、もって公共の福祉の増進に資することを目的とするものであり、右目的実現のためには当然に一定の権利制限を伴うことが予定されているのであって、法も土地区画整理事業の施行につき公共の福祉による制約として施行区域内の権利者が等しく受忍すべき一般的な権利制限については、特段、補償規定を設けていないが、この制約を超える特別の犠牲については格別に補償を要する旨の規定を設けており、法一〇一条一項もかかる趣旨に基づくものである。

すなわち、仮換地指定処分により従前地の使用収益権を剥奪するとともに従前地に対応する仮換地についても別に使用収益開始日を定めるとされた後、右開始日を定めないで仮換地についての使用収益権を与えないことは、一時的にではあれ、権利を一方的に剥奪することになるから、かかる場合は特定の権利者に課される特別の犠牲と解され、法一〇一条により補償を要するものとされているのである。

2  ところで、本件事業の執行により、四二三番四の従前地は昭和五四年一二月一日から、四二三番四の従前地は原告石橋が所有権を取得した当初の昭和五四年一月二五日から、五五四番六の従前地は昭和五八年一月一七日から、それぞれ現実に使用収益できなくなったこと、右三筆の土地に対応する仮換地については、現在まで原告石橋に対して仮換地の使用開始の通知がないため、同原告が従前地、仮換地の双方とも使用収益できない状態が一〇年以上継続していることは当事者間に争いがなく、証拠(乙一の1ないし5、証人亀田、原告加藤)及び弁論の全趣旨によれば、本件従前地は、本件処分がなされた昭和四九年当時、実際に使用収益されていなかったことが認められるが、かかる場合であっても従前地の所有者は、何時でもこれを使用収益し得た、すなわち、使用収益可能な状態にあったのであり、本件処分により使用収益可能な状態から使用収益不能な状態になったことには変わりがないのであるから、従前地を実際に使用収益していなかった者に対しても補償を要するものと解するのが相当である。

二 争点2(補償の額)について

1  右の使用収益権が剥奪された場合の補償額は、当該従前地の地代又は借賃相当額(以下「地代相当額」という。)と解すべきであるが、当該地代相当額について、原告主張のように一般的制限の課されていない土地の地代相当額と同様に解することは、仮換地指定と同時に仮換地を使用収益できる者であっても、土地区画整理事業遂行のために使用収益権に対する一般的制限が課されていることと対比して権衡を失し、不合理であるから、地代相当額の算定に当たっても、当該従前地が土地区画整理事業の開始により課される一般的制限(建築制限等)によって、そもそも使用収益が制約されている土地であることを当然に考慮すべきである。

この点について、原告は、補償額の算定に関して土地収用法における損失補償と同様に考えるべきである旨主張しているが、土地区画整理事業においては、事業の開始による一般的な権利の制限も換地処分を実現するための一時的なものに止まり、換地の完了によって回復されることが予定されているのであって、その点において土地の使用収益権が最終的に剥奪されることが予定されているために、事業開始前の制約の課されていない正常価格を基準として補償することが必要とされている土地収用の場合とは異なるものというべきであるから、法一〇一条の従前地の使用収益権剥奪に伴う補償額を検討する場合においても土地収用の場合の正常価格と同列に論じることはできないというべきであり、原告の右主張は採ることはできない。

2 補償額の算定について

(一) そこで、本件における補償額について具体的に検討する。

土地区画整理事業においては、一般公共事業と異なり、土地所有者も受益者として事業施行に伴う不利益について一定限度において受忍すべき義務があるため、借賃相当額を定めるに際しても、完全自由市場において成立する新規の正常地代又は借賃相当額を補償額とすることはできず、仮換地指定と同時に仮換地を使用収益できた場合の価格を前提として算定すべきことは前判示のとおりであるところ(甲二九40丁)、右によれば、新規賃料を基に借賃相当額を算定することはできないといわざるを得ない。

また、当事者間に争いのない事実、証拠(甲一四、二九、乙一二、証人関根、同油野、原告本人)、鑑定人三宅による鑑定の結果(以下「三宅鑑定」という。)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実(一部争いのない事実を含む。)が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

(1) 本件事業区域内の大部分は、住居地域であり、補償対象地の近傍も従前から住宅地としての使用が一般的であって、現在も同様である(甲一四、原告)。

(2) 三宅鑑定は、地目農地についても宅地見込地としたうえ、付近の継続賃料の水準からアプローチして使用料相当額を昭和五四年九月ないし同五六年九月時点において、標準的な画地の場合に一平方メートル当たり月額五七円としており(三宅鑑定)、右使用料額は、更地価格の、昭和五四年九月末日時点において約1.55パーセント、同五六年九月末日時点において約1.28パーセントとなるが、右数値は県南地区における住宅を主たる目的とした宅地の継続賃料の水準(更地価格の一パーセント)を上回るものである。また、取引事例が少ないことから、継続賃料の水準からのアプローチ方法による結果は必ずしも標準的なものとすることはできない。

(3) これに対して甲第二九号証の不動産鑑定士油野作成の不動産調査報告書(以下「油野報告書」という。)においては、配分法により更地価格の四パーセントを補償額とすべきであるとしているが、右配分法に準ずる方法の基礎となった収益事例はわずかな事例であり、また、建ぺい率違反の建物事例を含んでいることなど、普遍性に欠ける点があり、必ずしも標準的なものということはできない(乙一二、関根)。

(4) 栃木県内では、土地の収益性が低いため、土地価格の五ないし六パーセントの利回りを期待することはできない(証人関根)。

(5) なお、本件においては、本件従前地が使用収益停止となる前から未利用のまま放置されていたうえ、具体的な利用計画も存在していなかったし、本件第一土地以外の法的に使用収益可能な状態になっている原告の他の仮換地についても未利用のまま放置されていた反面、昭和四九年三月に仮換地指定処分がなされてから、本件で損失補償を求めている昭和五四年一二月から昭和五九年九月までの間に使用収益開始日の通知がなされていないので、従前地も仮換地も使用できない状態がすでに一〇年を経過している。

(二)  そして、本件における損失補償は、前記のとおり、土地区画整理事業の開始によって課される一般的制限によって、本来使用収益が制約されている土地を対象とするものであることを前提として、以上の損失補償の額をめぐる諸事情を総合考慮すれば、補償額は本件の全期間を通じて推定正常価格の年二パーセントとするのが相当である。

(三) 推定正常価格

補償対象の本件第一土地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格(単価)は別表第一記載のとおりであること、及びこれに基づく本件第一土地の原告主張の各期間の推定正常価格は別表二記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。

3 具体的補償額

以上に基づき、原告石橋が補償対象の本件第一土地の補償を受けるべき価額を算出すると、次のとおりとなる(なお、円未満切捨て、以下同じ)。

(一) 昭和五四年一二月一日から同五五年三月三一日まで

四二三番四の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×194.14m2×0.02÷12×4=59,924円

(二) 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日まで

四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×194.14m2×0.02=191,422円

(三) 昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

59,300(円/m2)×194.14m2×0.02=214,718円

(2) 四二三番五の土地(昭和五六年八月一日から八か月分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×172m2×0.02÷12×8=126,821円

(四) 昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×194.14m2×0.02=234,521円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×172m2×0.02=207,776円

(3) 五五四番六の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

65,800(円/m2)×6.61m2×0.02÷12=724円(一か月分の賃料相当額)

(724円×2)+(724円÷31×15)=1,798円

(五) 昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日まで

(1) 四二三番四の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×194.14m2×0.02=248,499円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×172m2×0.02=220,160円

(3) 五五四番六の土地(一年分の賃料相当額)

69,700(円/m2)×6.61m2×0.02=9,214円

(六) 昭和五九年四月一日から同五九年九月三〇日まで

(1) 四二三番四の土地(六か月分の賃料相当額)

66,300(円/m2)×194.14m2×0.02÷2=128,714円

(2) 四二三番五の土地(六か月分の賃料相当額)

66,300(円/m2)×172m2×0.02÷2=114,036円

(3) 五五四番六の土地(六か月分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×6.61m2×0.02÷2=4,772円

(七) (一)ないし(六)の総計

一七六万二三七五円

三  損失の填補について

1 填補額

(一) 原告石橋が、被告から、本件各年度の補償として七九万二四六九円が支払われたこと及び原告石橋に代わって原告加藤が、被告から、九万〇五〇〇円及び七万八六一八円を受け取ったことは当事者間に争いがない。

(二) 右九万〇五〇〇円及び七万八六一八円については、本件の補償にあたるものか否かについて検討するに、証拠(乙二及び三の各1・2・3、証人亀田金三郎、同長慧)によれば、右九万〇五〇〇円は、原告加藤が本件第一土地のうち四二三番四の土地、同番五の土地及び原告加藤所有の本件第二土地のうち四二三番三について昭和五四年一二月一日から昭和五五年三月三一日までの間の農業休止補償として支払われたこと、右七万八六一八円は、原告加藤が原告石橋に代わって本件第一土地のうち四二三番四の土地について昭和五五年度の雑補償として固定資産評価額の一〇〇〇分の三五の割合による金額で支払われたものであることが認められるから、原告加藤から右各金額についての物件移転承諾書を差し入れさせていたことが認められるものの、被告においては物件移転承諾書しか書式がなかったのでこれを用いたことや右金額の算定方法等からして右金額は昭和五四年度(同年一二月一日からの分)と昭和五五年度の右の各土地を使用できないことによる補償と解すべきである(なお、前記九万〇五〇〇円のうち、原告石橋の分は補償地全体の面積に対する割合により二万一八二一円となる)。

(三) したがって、原告石橋は被告から本件の補償として八九万二九〇八円の支払いをすでに受けているものというべきである。

2 利息への充当

原告加藤は、被告から、これまでに支払いを受けた補償金について、利息への充当を主張するので、原告石橋の被告に対する本件の損失補償金一七六万二三七五円に対する年五分で生じた従前の利息を計算すると、

内金五万九九二四円に対する昭和五五年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は二万〇四〇七円、

内金一九万一四二二円に対する昭和五六年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は五万五六一七円、

内金三四万一五三九円に対する昭和五七年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は八万二一五七円、

内金四四万四〇九五円に対する昭和五八年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は八万四六二一円、

内金四七万七八七三円に対する昭和五九年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は六万七一六四円、

内金二四万七五二二円に対する昭和六〇年一月二四日から昭和六二年一月二一日までの利息は二万四六八四円、

の合計三三万四六五〇円となるので、本件の損失補償金一七六万二三七五円に対する昭和六二年一月二二日から平成五年五月二四日までの利息は五五万八四〇七円で、

これらの利息の総計は八九万三〇五七円となり、被告からすでに支払われた八九万二九〇八円は全て右期間の利息金に充当されたことになる。

〔第二号事件〕

第一  請求原因一(当事者)及び同二(被告の仮換地指定処分等)の各事実(ただし、四二六番一の土地のうち612.96平方メートルを除く)、同三1、同四のうち、補償対象地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格が別表第三記載のとおりであること、昭和四七年九月一七日以降の推定正常価格を財団法人日本不動産研究所公表の六大都市を除く地域別市外地価推移指数(第四表)のうち、住宅地指数を用いて算出すると別表第四記載のとおりとなること並びに同五の事実(補償裁決を経たこと)は当事者間に争いがなく、四二六番一の土地のうち612.96平方メートルについては、昭和六〇年八月一日使用収益を開始したことが認められるが(乙一一)、いずれにしろ補償対象期間中に使用収益を開始されていないことに相違はない。

第二  争点に対する当裁判所の判断

一  争点1(補償の要否)について

本件において、被告が原告らに対して補償をする必要があると解すべきことは、第一事件の第二、一に述べたとおりである。

なお、被告は、本件各仮換地は、事実上、使用収益可能な部分が存在するのに、原告加藤が各仮換地全体の整備の完了まで部分的な引渡を受けることを拒否したもので、原告加藤の損失はないと主張するが、原告加藤が右のように部分的な引渡を拒否したか否かはさておき、第一事件の第二、一、2のとおり、仮換地指定処分がなされ、その使用収益開始できる日は別に定めて通知するとされた本件のような場合には、本件処分により法的にみると使用収益可能な状態から使用収益不能な状態になったものであるから、従前地ないしは仮換地の全部または一部についての使用収益が一時的にでも許可されたか、または実際にこれを使用収益をしてしまって具体的な損失が発生していない場合でない限り、原告加藤は法一〇一条に基づき補償を請求できるものと解するのが相当であるところ、本件では右のような事情があるとはいえない。

二  争点2(農地の評価)について

証拠(甲二九、証人関根猛史、同三宅健一、鑑定人三宅による鑑定の結果)によれば、補償対象地は、いずれも昭和四七年一〇月三日都市計画決定がなされた市街化区域で、近隣商業地域ないしは工業地域に属し、補償対象期間の現況は、農地や原野の中に一般住宅や小工場が散在する土地利用度があまり高くない住宅地域であったこと、三宅鑑定及び油野鑑定(甲二九)は、いずれも補償対象地内の農地について、宅地見込地として時価相当額を算出していることが認められること、しかも、補償対象地は、土地区画整理事業の対象であって、宅地への熟成過程にあって、仮換地指定処分まで進行していること等からすれば、補償対象地内の農地は、宅地見込地としての推定正常価格に基づく地代相当額をもって補償額と解するのが相当である。

三 争点3(補償の額)について

1  補償の額については、土地区画整理事業の開始により課される一般的制限による制約下での当該従前地の地代相当額と解すべきであること及び推定正常価格に占める補償額の割合については、第一事件の第二、二、1及び2の(一)・(二)のとおりである。

2 推定正常価格

補償対象の本件第二土地の昭和四七年九月一七日における推定正常価格(単価)は別表第三記載のとおりであること、及びこれに基づく本件第二土地の原告主張の各期間の推定正常価格は別表四記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。

3 具体的補償額

以上に基づき、原告加藤が各補償対象の本件第二土地の補償を受けるべき価額を算出すると、次のとおりとなる。

(一) 昭和五四年一二月一日から同五五年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×439m2×0.02÷12×4=135,504円

(2) 四二三番五の土地(四か月分の賃料相当額)

46,300(円/m2)×172m2×0.02÷12×4=53,090円

(二) 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×439m2×0.02=432,854円

(2) 四二三番五の土地(一年分の賃料相当額)

49,300(円/m2)×172m2×0.02=169,592円

(3) 四三三番一の土地(八か月二八日分の賃料相当額)

46,500(円/m2)×433m2×0.02÷12=33,557円(一か月分の賃料相当額)

(33,557円×8)+(33,557円÷31×28)=298,765円

(三) 昭和五六年四月一日から同五七年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×439m2×0.02=485,534円

(2) 四二三番五の土地(四か月分の賃料相当額)

55,300(円/m2)×172m2×0.02÷12×4=63,410円

(3) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

52,100(円/m2)×433m2×0.02=451,186円

(四) 昭和五七年四月一日から同五八年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

60,400(円/m2)×439m2×0.02=530,312円

(2) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

56,900(円/m2)×433m2×0.02=492,754円

(3) 四二三番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,200(円/m2)×413m2×0.02÷12=46,944円(一か月分の賃料相当額)

(46,944円×2)十(46,944円÷31×15)=116,602円

(4) 四二五番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,200円(円/m2)×357.02m2×0.02÷12=40,581円(一か月分の賃料相当額)

(40,581円×2)+(40,581円÷31×15)=100,797円

(5) 四二六番一及び同番四の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

84,100(円/m2)×207.16m2×0.02÷12=29,036円(一か月分の賃料相当額)

(29,036円×2)+(29,036円÷31×15)=72,121円

(6) 四二六番二の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

① この内73.83平方メートルの部分

84,100(円/m2)×73.83m2×0.02÷12=10,348円(一か月分の賃料相当額)

(10,348円×2)+(10,348円÷31×15)=25,703円

② この内223.59平方メートルの部分

79,400(円/m2)×223.59m2×0.02÷12=29,588円(一か月分の賃料相当額)

(29,588円×2)+(29,588円÷31×15)=73,492円

(7) 四二九番一の土地(昭和五八年一月一七日から同三月三一日までの二か月一五日分の賃料相当額)

68,600(円/m2)×1,114m2×0.02÷12=127,367円(一か月分の賃料相当額)

(127,367円×2)+(127,367円×15÷31)=316,363円

(五) 昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日まで

(1) 四二三番三の土地(一年分の賃料相当額)

64,000(円/m2)×439m2×0.02=561,920円

(2) 四三三番一の土地(一年分の賃料相当額)

60,300(円/m2)×433m2×0.02=522,198円

(3) 四二三番一(一年分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×413m2×0.02=596,372円

(4) 四二五番一の土地(一年分の賃料相当額)

72,200(円/m2)×357.02m2×0.02=515,536円

(5) 四二六番一及び同番四の土地(一年分の賃料相当額)

89,000(円/m2)×207.16m2×0.02=368,744円

(6) 四二六番二の土地(一年分の賃料相当額)

① この内73.83平方メートルの部分

89,000(円/m2)×73.83m2×0.02=131,417円

② この内223.59平方メートルの部分

84,100(円/m2)223.59m2×0.02=376,078円

(7) 四二九番一の土地(一年分の賃料相当額)

72,700(円/m2)×1,114m2×0.02=1,619,756円

(六) 昭和五九年四月一日から同年九月三〇日まで(六か月分の賃料相当額)

(1) 四二三番三の土地

66,300(円/m2)×439m2×0.02÷2=291,057円

(2) 四三三番一の土地

62,400(円/m2)×433m2×0.02÷2=270,192円

(3) 四二三番一の土地

74,800(円/m2)×413m2×0.02÷2=308,924円

(4) 四二五番一の土地

74,800(円/m2)×357.02m2×0.02÷2=267,050円

(5) 四二六番一及び同番四の土地

92,200(円/m2)×207.16m2×0.02÷2=191,001円

(6) 四二六番二の土地

① この内73.83平方メートルの部分

92,200(円/m2)×73.83m2×0.02÷2=68,071円

② この内223.59平方メートルの部分

87,100(円/m2)×223.59m2×0.02÷2=194,746円

(7) 四二九番一の土地

75,300(円/m2)×1,114m2×0.02÷2=838,842円

(七) (一)ないし(六)の総計

一〇九三万九九八三円

三  損失の填補について

1 填補額

(一) 原告加藤に対し、被告から、本件各年度の補償として三五六万九三六一円が支払われたこと、及び原告加藤が、被告から、九万〇五〇〇円及び三〇万七四四七円を受け取ったことは当事者間に争いがない。

(二) 右九万〇五〇〇円及び三〇万七四四七円については、本件の補償にあたるものか否かについて検討するに、証拠(乙二及び三の各1・2・3、証人亀田金三郎、同長慧、原告加藤)によれば、右九万〇五〇〇円は、原告石橋所有の本件第一土地のうち四二三番四の土地、同番五の土地及び本件第二土地のうち四二三番三について昭和五四年一二月一日から昭和五五年三月三一日までの間の農業休止補償として支払われたこと、右三八万八七八二円は、原告加藤が本件第二土地のうち四二三番三、同番五の土地、四三三番一の土地について昭和五五年度の雑補償として固定資産評価額の一〇〇〇分の三五の割合による金額で支払われたものであることが認められるから、原告加藤から右各金額についての物件移転承諾書を差し入れさせていたことが認められるものの、被告においては物件移転承諾書しか書式がなかったのでこれを用いたことや右金額の算定方法等からして右金額は昭和五四年度(同年一二月一日からの分)と昭和五五年度の右の各土地を使用できないことによる補償と解すべきである(なお、前記九万〇五〇〇円のうち、原告加藤の分は補償地全体の面積に対する割合により六万八六七九円が補償されていたことになる。)。

(二) したがって、原告加藤は被告から本件の補償として三九四万五四八七円の支払いをすでに受けているものというべきである。

2 利息への充当

原告加藤は、被告から、これまでに支払いを受けた補償金について、利息への充当を主張するので、本件の損失補償金一〇九三万九九八三円に対する年五分で生じた従前の利息を計算すると、

内金一八万八五九四円に対する昭和五五年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は六万四二二五円、

内金九〇万一二一一円に対する昭和五六年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は二六万一八四五円、

内金一〇〇万〇一三〇円に対する昭和五七年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は二四万〇五七九円、

内金一七二万八一四四円に対する昭和五八年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は三二万九二九四円、

内金四六九万二〇二一円に対する昭和五九年四月一日から昭和六二年一月二一日までの利息は六五万九四五四円、

内金二四二万九八八三円に対する昭和五九年一二月一二日から昭和六二年一月二一日までの利息は二五万六六三六円、

の合計一八一万二〇三三円となるところ、

本件の損失補償金一〇九三万九九八三円に対する昭和六二年一月二二日から平成二年一二月一六日までの利息は二一三万四〇四六円で、

これらの利息の総計は三九四万六〇七九円となり、被告からすでに支払われた補償金額は三九四万五四八七円は全て右期間の利息金に充当されたことになる。

〔結論〕

よって、原告らの本訴請求のうち、原告石橋が本件裁決における損失補償額を金一七六万二三七五円と、原告加藤が本件裁決における損失補償額を金一〇九三万九九八三円とそれぞれ変更するとともに、被告は、原告石橋に対し金一七六万二三七五円及びこれに対する平成五年二四日から右支払済まで年五分の割合による利息の支払い、並びに原告加藤に対し、金一〇九三万九九八三円及びこれに対する平成二年一二月一六日から右支払済まで年五分の割合による利息の支払いをそれぞれ求める範囲で理由があるので、右の範囲で認容し、その余は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九二条本文、九三条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官小林登美子 裁判官石田浩二 裁判官桑原伸郎は退官のため署名押印できない。裁判長裁判官小林登美子)

別紙物件目録〈省略〉

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